この記事では腕時計の駆動方式について
- 種類
- 特徴
を中心にわかりやすくまとめています。ぜひ腕時計選びの参考にしてください。
腕時計の駆動方式は大きく分けて2つ
腕時計が動く仕組みを大きく分けると、
- 機械式
- クォーツ式
の2種類。
この他に「スプリングドライブ」や「音叉式」があります。
機械式腕時計
機械式は以下の2種類に分けられます
- 手巻き式
- 自動巻き式
自動巻きには手巻き機能もついていることがほとんど。
仕組み自体に大きな違いはありません。腕時計の針が動くための”ゼンマイ”をどのように巻き上げるかが違います。
- 手巻き…ゼンマイを手で巻く
- 自動巻き…日常生活の動き(腕の振り等)によって巻き上げる
腕時計は手巻き式から始まりましたが、現在では「機械式=自動巻き」と言ってもいいほど手巻き式時計の数は少なくなってきています。
特徴
巻き上がったゼンマイがほどける力を利用して、歯車ひとつひとつに力が伝わり針が動きます。
「針を動かす」動作のために部品数がかなりの数に。
シンプルな三針のもので約100個の部品、機能が複雑になればなるほど増えていきクロノグラフ機能搭載モデルであれば約600以上もの部品が必要となります。
針の動き方にも特徴があり、細かく小刻みに動き耳を近づけると「チチチチチ」と小さく細かい音がします。一般的なクォーツ式時計の「カチッカチッ」とは異なります。
機械式腕時計のメリット
- 電池交換が必要ない(急に止まらない)
- 半永久的に使い続けられる
- 使わなければ止まってくれる
- 腕時計の歴史や職人の技術を感じる
- ステータス性が高い?
①電池交換が必要ない
時計を動かすためにゼンマイの巻き上げがほどける力を利用する機械式は電池を使用していません。
長期間使用すると精度が悪くなってくるだけで急に止まることもなく、分解洗浄(オーバーホール)も都合の良いタイミングで行えます。
②半永久に使い続けられる
オーバーホールを続けられる環境にあるなら永久に使い続けられます。
ただし故障や摩耗等によって部品を交換するときに該当部品が製造終了になっている場合は諦めるしかありません。
超高級時計ブランドの中には「永久修理保証」を謳っているところもあります。
③使わなければ止まってくれる
機械式は普段使ってない時は止まってくれます。
必要なときだけ龍頭を回すor腕につけるだけで動き始めるので、たくさんコレクションするなら電池の消耗を考えなくてもよい点はメリットです。
ただし時刻合わせが毎回面倒なのと、定期的に動かさないと部品が痛むことがある点は要注意。
④腕時計の歴史や職人の技術を感じる
管理人的機械式時計が好きな理由がこれ。実用性を無視したロマンです。
機械式腕時計は長い年月をかけて時計職人が研究してきた知恵と技術の塊。小さなケースの中に、どれだけの情熱と技術が詰まっているかを感じ取る楽しみがあります。
⑤ステータス性が高い?
価値観の違いが大きいため一概にメリットとは言えません。
腕時計ファンの中には「クォーツは邪道、機械式腕時計こそ至高」といった高尚なお考えをされている方がいるのも事実。
「腕時計は自己満、好きなものだけを愛せば良い」と常々思っている管理人としては機械式時計にステータス性は感じません。
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デメリット
- 精度面でクォーツには到底及ばない
- 個体差が生じることもあり
- 衝撃に弱い
- 数年に一度分解洗浄(オーバーホール)が必要
- こだわりだすと高額になる
①精度面でクォーツ式には到底及ばない
精度はクォーツ式には到底及びません。機械式の精度を示すときは基本的に「日差」。1日(24時間)で±数秒~数十秒のズレ。
一方クォーツ式は「月差(ひと月でずれる時間)」。ひと月で±数秒~数十秒、精度の良いものなら年差というものまであります。
電波時刻修正機能付きなら常に正確な時刻が確認できます。
②個体差が生じることもあり
機械式時計は部品数が多い&完成するまでの工程も長いため、どうしても個体差が生じてしまいます(もちろん検査はしています)。
中には日差が大幅にずれるハズレ個体もあれば、時間ぴったりで全然ずれないアタリ個体があることも。こればかりは手に取るまでわからないため正直なところ運です。
管理人個人としては、購入したものがもし日差の大きい個体であっても“手のかかるかわいい子”として大事にしてあげてほしいと思っています。
③衝撃に弱い
時計内部は部品が複雑に構成されているため衝撃には弱いです。激しいスポーツや肉体労働では使用しないようにしてください。
④数年に一度分解洗浄(オーバーホール)が必要
長期間使ううちに内部のオイルが酸化して精度が悪化していきます。
1日で数秒程度のズレだったのが、数分~数十分のズレるようになってきます。また部品の消耗もあるので必要であれば交換しなければなりません。
車検と同じと思ってください。
頻度はおおよそ3~5年ぐらいが目安。個体差があるため丈夫な個体だと10年以上使い続けても調子よく動き続けるものもあるようです。
オーバーホール料金
料金は1万円~10万円ぐらい。クロノグラフなど複雑な機能を搭載しているほど料金は上がります。
場合によっては買った値段と同じぐらい、もしくはそれ以上のオーバーホール料金がかかる場合もあるため買い替えの方がお得かもしれません。
⑤こだわりだすと高額になる
ブランド・ムーブメント・ステータス性などをこだわりだすと、めちゃくちゃ高くなります。それこそ数十万円~数百万円も普通です。
探せば値段が安くても質のいい機械式時計はいくらでもあります。自分が納得するものを買うことをお勧めします。
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クォーツ式腕時計
特徴
クォーツ(Quratz)は日本語で水晶のこと。電池の力で水晶を振動させ針を動かします。
機械式が主流でしたが、”セイコー”が世界初のクォーツ腕時計「アストロン」を発表。
安い・量産可能・高精度のクォーツ式の登場により当時の時計メーカーが何社も倒産に追い込まれるほどの事件でした(俗にいうクォーツショック)。
しばらくクォーツ式の勢いに押されていた機械式も現在また注目されだしています。
メリット
①抜群の精度
時計の本来の目的は正確な時刻が確認できること。腕時計に精度は重要なことです。
セイコーなどの日本メーカーのクォーツは本当に精度が高い。月差±数秒ほど。超高精度モデルなら年差±数秒と桁違いの精度です。
秒単位で仕事されている方でも安心できます。
②抜群の実用性
時計の構造が簡単のため基本的には丈夫です。普段使いや肉体労働などでもガツガツ使える実用性は素晴らしい。
太陽や電灯などの光の力で充電できるソーラー充電機能も実用性抜群。電池交換もいらなくなり時計に手間をかけたくない方にはかなりおすすめです。
③価格が安い
クォーツ時計は大量生産が可能なため安価。安いものなら数百円、数千円も出せば様々な機能を搭載した立派な腕時計が買えます。
例えば高級ブランドの人気モデルでも機械式・クォーツ式の両方が用意されていることがありますが、クォーツ式モデルは手の出しやすい価格設定になっています。
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デメリット
①急に電池切れを起こす
だいたい電池の寿命は2~3年です。前触れが無いことが多いため重要な場面で止まると大変。
②電池交換をする必要がある
電池切れを起こせば電池交換が必要です。
自分でできなくもないですが、腕時計を傷をつけてしまったり最悪故障する可能性もあるので店舗に持っていったほうが安全です。料金は1,000円~数千円程度。
問題は電池交換をしてくれる店の数が少なくなってきていること。大手家電量販店やショッピングモール内の時計店はだいたい対応してくれます。
③使わなくても動き続ける
使わない場合も動き続けます。
管理人としては少しもったいないような気が…。またコレクションが多く、久しぶりに使うときに電池切れ…ってこともありえます。
④一部の時計好きから「クォーツか…」って思われる…かも
前述しましたがステータス性の話です。「そんな変な方もいることがある」ぐらいに考えといてください。
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スプリングドライブ
特徴
セイコーが1999年に発表した腕時計の駆動機構。最高級ライン「グランドセイコー」に搭載されています。
公式ホームページから引用⇩
スプリングドライブは、
「高精度を実現した機械式時計」
であり、また、
「電池もモーターも使用しないクオーツ式時計」
であると言えます。
機械式時計の心臓部をクォーツに置き換えたものです。ゼンマイのほどける力でローターを回して発電し、その電力でクォーツを振動させてて針の動きを安定させます。
まさに機械式とクォーツ式の良いとこ取りしたハイブリッドな駆動方式です。
メリット
- 機械式・クォーツ式の良いとこ取り
- 衝撃にも強い
- 美しいスイープ運針
- 世界最高峰の技術
①機械式・クォーツ式の良いとこ取り
機械式の強い力と、クォーツ式の高い精度を併せ持っています。
一般的にクォーツ式は機械式より長時間動きますが、その分針を動かす力が機械式半分程度しかありません(太くて重い針が使えない)。
動力源にゼンマイを使っているスプリングドライブは、クォーツ式と同等の精度を持ちながら機械式と同等の力も使えます。
②衝撃にも強い
テンプを持たないため衝撃にも強いのが特徴。衝撃を与えてもほとんど狂わず、磁気にも強い作りになっています。
③美しいスイープ運針
機械式は「チチチチチ」
クォーツは「カチッカチッカチッ」
スプリングドライブは「スーー」
という感じ。美しくてほれぼれしてしまいます。
④世界最高峰の技術
日本を代表する腕時計ブランドのセイコーが20年以上かけて開発したスプリングドライブ。セイコーの技術の結晶。
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デメリット
①価格が高い
仕組みが難しく量産ができないため高価になってしまいます。最低でも30万円以上は予算を用意することをおすすめします。
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腕時計駆動方式まとめ
どれを選んでもメリット・デメリットは必ずあります。自身のライフスタイルや価値観で選んでください。
では良い腕時計ライフを!
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